長年、問題点が指摘されてきた、在留資格「技能実習」とその制度。
法改正などを踏まえて、問題点を克服するように努められてきましたが、国内外からの批判が止むことはありませんでした。
法務大臣は、「歴史的決着」をしたい、という強い決意を報道陣の前で述べています。
技能実習制度の問題点とは?
技能実習制度について指摘されてきた問題点には、つぎのようなものがあります。
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制度の趣旨と現状が乖離していること
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実質、3から5年の間、技能実習生が転職ができないこと
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受入企業の人権侵害(残業代未払、暴力など)
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日本に来るために多額の借金を背負うこと
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受入企業を管理監督する立場の「監理団体」がその職務を誠実に果たさないこと
などがあり、これらにメスを入れるものと思われます。
現状でも非常に細かく、厳しい制度にはなっている
技能実習制度を定める法律として、技能実習法があり、また、具体的な運用については、技能実習運用要領が定められています。
技能実習にかかる制度は、非常に細かく規定されており、そのまま丁寧に運用していけば、人権問題が起こるようなこともかなり防げるのではないかと思われるほどの、精密な制度です。
しかし、それでも問題はくすぶり続けてきたようです。それは制度の根本的なところに問題が潜んでいるからです。
根本から見直すのが、今回のポイントに!
技能実習法には、日本が技能実習制度を通じて、日本の技術を発展途上国の国々に移転してもらうことが目的であるとされているばかりか、技能実習制度を「労働力の需給調整のために使ってはならない」とされています。
しかし、現状はどうでしょうか?
技能実習生を雇用することを、国際貢献の手段として見ている方が、この日本に一体どれだけいてるのでしょうか?
政府も長年の間、この状態につき、見て見ぬ振りを続けてきたわけですが、今回このあたりも恒久的な変更をされていくものと考えられています。
根本から作り直すという今回の動きは歓迎されるべきものです。
日本は人口減少という大問題に立ち向かわなくてはなりません。そこに外国人の存在をなくして考えることはもはや不可能です。
そのような今だからこそ、正面切って、外国人を労働力として迎え入れ、さらに彼らと協働、共生する社会をいち早く描きだすことが必要です。
技能実習制度改革の全貌が気になります。
行政書士 春野