告示外特定活動「老親扶養」

「特定活動」ビザは、その範囲が非常に広く、どのようなビザであると一言で説明することはできません。

特定の活動をするためのビザということですが、なかなか定型化して論じることができないために、定型化できる以外をすべて包含するために、便宜上特定活動という名前をつけたビザだということができます。

大きく分けて、どのような活動が当てはまるか告示されているものと、告示されていないものがあります。

ここでは、告示されていないもののうちの「老親扶養」のための特定活動についてです。

老親扶養のための特定活動

本国で身寄りのない年配の親を日本に呼び寄せて、老後の生活を共にするためのもの、とされています。

その老親に、このビザが与えられるためにはいくつかの条件があります。

    経済的に困窮していること(無職)
    その老親に経済的に援助をしてくれる親族が、本国には全くないこと
    75歳以上であること
    日本で扶養する予定の者の経済的安定性

などが挙げられます。

実際にこの特定活動が与えられるケースは非常に少ない

前項の条件があることを考えると、このビザにはその老親を日本に呼び寄せて、日本で生活させるための十分な、人道的理由が見いだせるかどうかが、ポイントとなっていることがわかります。まさに、難民の受け入れをほとんどしない日本の受け入れ体制に通じたところが、このビザの申請現場でも感じられます。人道的理由を説明するのは非常に難しく、難民はほとんど受け入れられていません。

それぞれの条件を少し深めて考えてみると、例えば老親を本国で扶養してくれる親族がないことを立証するのはなかなかハードルが高いですし、日本で扶養する予定の者(通常は、呼び寄せるその老親の子)の経済的安定性といっても曖昧な表現に感じられます。

また、このビザは、細かい説明がない(どのような要件を満たせば、与えられかという明確な基準に乏しい)ため、入管側に広い裁量が認められているとも言えます。

考えてみますと、本当に働けない状態であるとか、扶養する近親者が本国にいないことなど、「〇〇がないこと」を証明しなければならない時点で、ほぼ不可能な証明を求められているわけで、ここだけみても非常に難しい申請であることがわかります。

実際、これらの要件を満たしていても、許可されないことが多いです。

実務上では、上記の条件以外にも、その老親が重病を抱えている(働ける要素が全くない)ことや、呼び寄せる子供が永住者などの安定したビザを取得していることなども、必要条件としてあるのではないか、と考えられます。

入管への丁寧な説明資料の作成が必要

繰り返しになりますが、どのような資料を出せばいいかという目安も明らかにされていないために、申請者側に綿密な資料の準備が求められるといえるでしょう。

春野行政書士事務所

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